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Ein Programm der Universität Leiden
火星をほって秘密をさぐる
30. November 2018

  写真投こうサイトのインスタグラムをちょっと調べると、自撮り画像(じどりがぞう)として3億5000万枚以上の写真が投こうされています。でもその中のどれも、今週NASA(アメリカ航空宇宙局)が火星から受け取った、探査機インサイト※1の自撮り写真にかなうものはありません。

  この写真は、インサイトが6ヶ月飛んで火星まで行った10月23日、着陸してすぐに自分をとったものです。写真には、自分、つまり探査機の一部と、後ろに火星のほこりっぽい赤色の大地が写っています。

  インサイトはこの赤い星の北極と南極の中間地点、赤道ちかくにある広くて平らな目標地点にピタッと着陸しました。この一帯はあまりにも何もないところなので、「火星最大のちゅう車場」とよばれています。ここがまさに NASAが着陸地点としてねらっていた場所なのです。

  大きな岩や急な崖(がけ)があるところに着陸することは、探査機にとっては「おしまい」と言われるようなもので、かたむいたりひっくり返ってしまいます。それにインサイトにとっては火星表面の崖や谷には何の興味もないのです。

  今までの探査で使われた地表を移動するローバーとはちがって、インサイトは地面に深く穴をあけて火星の内部を調べます。モグラと名付けられた装置が地表から穴をほって5メートルもぐりこみ、地中にかくされた秘密を探ります。例えば火星の中心からどのくらいの熱が来ているかなどを調べます。

  他の装置でバレーボールぐらいの大きさのものがあります。これは、地すべり、砂あらし、隕石(いんせき)の衝突(しょうとつ)、さらにいわゆる火星震(かせいしん/地球ならば地震ですね)などによって引き起こされる、わずかな地面の動きを調べます。

  これらの装置すべての働きによって、火星内部のようすが私たちに伝わります。ちょうど超(ちょう)音波によってお医者さんが人の体の内部を“見る”ことができるのに似ています。

  これで色々なこと、例えば火星や地球のように固い地面を持った惑星(わくせい)がどのようにできて、時が経つにつれてどのように変化してきたのかということがはっきりするでしょう。さらにインサイトの探査から、生命はどこで生まれるのか、そしてどう消えるのかということさえも、おそらく何かわかることでしょう。

  海があり、気候が変化し、そして人間の活動があり、私たちの地球は常に変化しているので、できたころの歴史は長い間に失われています。しかし火星は何百万年も前の状態がほとんどそのまま残っています。そのことが、私たちに惑星ができたころの過去のようすをはっきりと示してくれるのです。

知っ得ダネ

  インサイトは火星へ1人で行ったのではありません。いっしょに2人のヒッチハイカーがいました。「ウォーリー」と「イヴ」※2です。これらは小さな2台の衛星で、インサイトが非常に難しい着陸にいどんでいる間、全てがうまくいっているか地球へ信号を中継(ちゅうけい)してくれていたのです。

 

※ 訳者註

  1. インサイト/InSight は、Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport(地震、測地、熱の移動をもとにした内陸調査)の頭文字をとったものですが、insight という単語は「ものごとの中身や真実を見ぬく能力」という意味になります。
  2. この2台は初めて地球外に送られたキューブサットという超小型衛星で、今回の本体の大きさは約36.6×24.3×11.8cm。

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